2025/12/03

[Trivia] ⛹️The Hot Reason Why High School Baseball Spikes Turned "White" / スパイク・帽子・ヘルメットに関するトリビア

スパイク・帽子・ヘルメットに関するトリビア

スパイク・帽子・ヘルメットに関するトリビア

野球の用具には、選手を守り、パフォーマンスを向上させるための深い工夫が隠されています。スパイク、帽子、ヘルメットにまつわる、知られざるトリビアをご紹介します。

トリビア 5-1:高校野球のスパイクが「白」になった熱い理由

長い間、日本の高校野球ではスパイクといえば「黒一色」が常識でした。しかし2020年頃から、規定が改正され「白スパイク」の使用が認められ、現在では主流になりつつあります。

これはファッションではなく、「熱中症対策」という切実な科学的理由によるものです。炎天下のグラウンドにおいて、黒い靴は太陽光を吸収し、内部温度が猛烈に上昇します。実験では、白スパイクは黒スパイクに比べて、内部温度が「約10度も低い」という結果が出ました。

近年の酷暑から球児の足元を守るため、100年続いた「黒の伝統」よりも「涼しさ(命)」が優先された、画期的なルール変更です。

トリビア 5-2:投手用スパイクにだけ付いている「P革」

投手のスパイクのつま先を見ると、革や樹脂のカバーが縫い付けられたり、釘で打ち付けられたりしているのが分かります。これを「P革(ピーがわ)」と呼びます。

投手は投球の際、軸足(プレート板に残る足)を地面に強く擦り付けながら前へ体重移動します。この摩擦は凄まじく、もしP革がなければ、新品のスパイクでも数試合、早ければ1試合でつま先に穴が空いてしまいます。

高価なスパイクを長持ちさせるための保護パーツですが、最近はスパイク自体の素材強化や、ソール(靴底)と一体化した補強が進み、後付けのP革を不要とするモデルも増えています。

トリビア 5-3:金属の歯から「樹脂の歯」へのトレンド変化

野球のスパイクといえば、裏に鋭利な「金属の歯(金具)」がついているのがプロの常識でした。地面に強く突き刺さり、強大なグリップ力を生むからです。

しかし近年、メジャーリーグを中心に「ポイントスパイク(樹脂製のブロック刃)」へ切り替えるスター選手が増えています。

金属歯は地面からの突き上げが強く、長時間履くと足腰への負担が大きいため、疲労骨積や膝痛の原因になります。樹脂製はクッション性が高く、「身体への負担を減らし、シーズンを通してコンディションを維持する」ために選ばれています。グリップ力の進化により、金属でなくても十分踏ん張れるようになった技術革新が背景にあります。

トリビア 5-4:帽子のつばの裏が「グレー」や「緑」なのはなぜ?

野球帽のつば(バイザー)の「裏側」を見たことがありますか? チームカラーが何色であっても、つばの裏だけは「グレー」や「緑色」になっていることが多いのです(最近は黒も増加)。

これは「照り返し防止」のためです。もしつばの裏が「白」だと、地面からの光を反射して自分の目に光を入れてしまい、ボールが見にくくなります。逆にチームカラーが赤や青などの鮮やかな色でも、視界に色がチラついて集中力を削ぎます。

「光を吸収し、目に優しい地味な色」として、グレーや緑が長年採用されてきました。華やかなユニフォームの中で、選手の視界を守るための隠れた工夫です。

トリビア 5-5:帽子のてっぺんにある「ポッチ」の災難

野球帽の頭頂部についている小さなボタンのような突起。正式名称を「天ボタン(英語ではスクワッチー)」と言います。これは複数の生地を頭頂部でまとめる留め具の役割をしています。

しかし、捕手(キャッチャー)のヘルメットを脱いだ時の帽子をよく見ると、この天ボタンが無い場合があります。

捕手はマスクやヘルメットを上から被る際、このボタンがあると頭蓋骨に押し付けられて非常に痛いのです。万が一、ファウルチップがマスクに当たった際、ボタンが凶器となって頭を怪我する恐れもあります。そのため、捕手用の帽子だけは最初からボタンを省略したり、平らな仕様にしたりしているのです。

トリビア 5-6:MLBでヘルメット義務化のきっかけとなった悲劇

野球の歴史において、打者がヘルメットを被るようになったのは比較的最近のことです。1920年、インディアンスのレイ・チャップマン選手が、ヤンキースのカール・メイズ投手の投じた速球を頭部に受け、死亡するという痛ましい事故が起きました。これがMLB史上唯一の「試合中の事故による死亡例」です。

しかし、当時の選手たちは「重い」「暑い」「男らしくない」とヘルメット着用を拒み続けました。完全に義務化されたのは、事故から50年以上経った1971年のこと。野球界の安全意識は、長い年月と尊い犠牲の上にようやく確立されたものなのです。

トリビア 5-7:プロのヘルメットが「片耳」だけの理由

アマチュア野球では両耳をガードするヘルメットが義務ですが、プロ野球選手の多くは「片耳(投手側)」だけのヘルメットを使用しています。

最大の理由は「少しでも軽く、視界を広く、音を聞こえやすくするため」です。時速160キロの球と戦うプロにとって、数グラムの軽量化や、わずかな首の振りやすさが死活問題になります。また、走塁中にコーチの声を聞きやすくするメリットもあります。

ちなみにスイッチヒッター(両打ち)の選手だけは、打席が変わるたびにヘルメットを変える手間を省くため、プロでも「両耳ヘルメット」を愛用するケースが多いです。

トリビア 5-8:最近増えた「フェイスガード(Cフラップ)」の普及

近年、大谷翔平選手をはじめ多くの強打者が、ヘルメットの頬の部分から突き出した「フェイスガード(通称:Cフラップ)」を装着しています。

元々は怪我をした選手の保護用でしたが、2014年にジャンカルロ・スタントン選手が顔面に死球を受けて重傷を負った事故以降、「怪我をする前の予防」として一気に普及しました。

顔を守る安心感から、「内角の厳しいボールに対しても恐怖心なく踏み込んでいける」という攻撃面でのメリットも大きく、今やメジャーだけでなく日本のプロ野球、さらには少年野球にまで広がる新しいスタンダードとなっています。

トリビア 5-9:ヘルメットの「ツヤ消し(マット)」加工の流行

かつてヘルメットといえばピカピカに光沢のある塗装が当たり前でしたが、近年は「ツヤ消し(マット仕上げ)」のヘルメットを採用するチームが急増しています。

これには「光の反射を抑え、ボールを見やすくする」という機能的な理由もありますが、最大の理由は「強そうでカッコいいから」という心理・ファッション的な側面が強いと言われています。

NFL(アメフト)のヘルメットデザインの影響を受けたとも言われ、重厚感のあるマット塗装は「敵に対する威圧感」を与える効果も期待されています。用具のデザインも、時代とともに「機能美」と「威嚇」の間で進化しているのです。

トリビア 5-10:新品の帽子にある「シール」を剥がさない文化

MLBの公式キャップである「ニューエラ(New Era)」社の帽子を被る際、つばに貼ってある金色のサイズステッカーを剥がさずに被る選手やファンがいます。これはブラックカルチャー(ヒップホップ文化)から野球に逆輸入されたスタイルです。

貧困層の多い地域では、「本物の新品(偽物でも盗品でも中古でもない)」を手に入れられることが成功の証であり、ステッカーはその象徴でした。

「俺は新品を被っているぜ」というアピール(Keep it fresh)として定着したこの文化は、今や一部のプロ野球選手にも浸透しており、プレイ中にキラキラしたシールが貼られたままの帽子を見かけることができます。

©Baseball Freak

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