2025/11/29

[Trivia] 😁グローブ・ミットに関するトリビア/「 Glove Wearing Was Once Considered 'Unmanly'

グローブ・ミットに関するトリビア / Baseball Glove and Mitt Trivia

グローブ・ミットに関するトリビア

グローブ・ミットに関するトリビア

トリビア 3-1:かつてグローブ着用は「男らしくない」と見なされた

19世紀の野球黎明期、選手たちは素手(ベアハンド)でボールを捕るのが当たり前でした。そんな中、1870年代に初めて革製の手袋を使用した選手が現れましたが、当時の観客や他の選手からは**「手が痛いのか?」「女々しい(男らしくない)」と激しく嘲笑されました。**

そのため、初期のグローブ使用者たちは、観客にバレないよう**「自分の肌の色に近い革」**を使った手袋をこっそり着用していたという記録が残っています。現在では守備の名手に「ゴールデングラブ賞」が贈られますが、歴史の出発点では、グローブは恥ずべき「弱者の防具」として扱われていたのです。

トリビア 3-2:「グローブ」と「ミット」の明確な境界線

野球放送で「ファーストミット」「キャッチャーミット」とは言いますが、「サードミット」とは言いません。この違いは形状とルールにあります。「ミット(Mitt)」は鍋つかみ(Mitten)が語源で、親指とそれ以外の指が分かれた、指の股がない袋状のものを指します。

公認野球規則では、ミットの使用が許されているのは「捕手(キャッチャー)」と「一塁手(ファースト)」のみです。他の野手は、5本指が分かれている**「グローブ」**を着用しなければなりません。これは、捕球(掴む)よりも**「止める・すくい上げる」**動作が多いこの2つのポジションに特権として認められた形状なのです。

トリビア 3-3:投手のグローブには「色」の厳しい禁止ルールがある

投手用のグローブは、野手用とは異なりデザインに厳しい制限があります。最も重要なルールは**「ボールと紛らわしい色(白・グレー・灰色など)を使用してはいけない」**という点です。

また、かつては「本体と違う色の紐」を使うことも禁止されていました(現在は緩和傾向ですが、依然として派手な配色は制限されます)。これは、投球動作中に打者の視界を妨げたり、ボールの出所を見にくくしたりする**「幻惑行為」を防ぐ**ためです。お洒落なデザインが多い野手用グラブに比べ、投手用が単色でシンプルなものが多いのは、この公平性を保つルールが存在するためです。

トリビア 3-4:ウェブ(網)の形は「ポジションの役割」で決まる

グローブの親指と人差指の間にある網部分を「ウェブ」と呼びますが、これにはポジションごとの機能美が詰まっています。

  • 【投手】 握り方(球種)を打者に見られないよう、隙間のない完全に塞がれたウェブ(バスケットウェブ等)が好まれます。
  • 【内野手】 ボールの持ち替え(握り変え)を0.1秒でも速くするため、浅くてシンプルなクロス状のウェブが主流です。
  • 【外野手】 フライを捕る際、グローブ越しに打球や照明が見えるよう、また風の抵抗を減らすために、隙間の多い網目状やT字型のウェブが使われます。

ただのデザインではなく、0.1秒を争うための機能パーツなのです。

トリビア 3-5:キャッチャーミットの「爆音」は演出されている

プロの捕手がボールを捕ると「パァァン!」と乾いた凄まじい音が響きます。これは投手の球威もさることながら、ミット自体の構造的な**「音響設計」**も関係しています。

上質なキャッチャーミットは、捕球面の革をあえて薄く硬く張り、太鼓の膜のような状態にしています。さらに、背面のクッション材を調整して共鳴しやすくしています。

良い音が鳴ることは、「投手の気分を乗せる」効果に加え、「審判にストライクだと思わせる(フレーミングの一種)」心理的効果も狙っています。音の良し悪しは、捕手の技術であると同時に、ミット職人の腕の見せ所でもあるのです。

トリビア 3-6:小指部分に「2本指」を入れるプロの技

グローブをはめる際、通常は5本の指をそれぞれの指袋に入れますが、外野手や一部の投手(メジャーリーガーに多い)は、**小指を入れる穴に「小指と薬指の2本」を同時に入れる「小指2本入れ(コユニ)」という着け方をします。**

こうすると、人差し指の部分が空洞になり、グローブを縦に深く閉じやすくなります。テコの原理で**「少ない力でガッチリとボールを挟み込める」**ようになり、握力の消耗を防いだり、強い打球に負けずに捕球できたりするメリットがあります。近年ではこの着け方を前提に設計された専用グローブも販売されています。

トリビア 3-7:牛の「年齢」でグローブの性格が変わる

グローブに使われる革は主に牛革ですが、牛の成長段階によって名称と性質が異なります。

  • 【キップ(Kip)】 生後6ヶ月〜1年以内の仔牛の革。きめ細かく軽量で手触りが最高ですが、耐久性はやや劣ります。素手感覚を求める内野手や投手に好まれます。
  • 【ステア(Steer)】 生後2年以上で去勢された成牛の革。繊維が太く、厚みがあり非常に丈夫です。激しい使用に耐えるため、高校球児や、しっかりした硬さを好む選手に選ばれます。

プロ選手は、自分のプレースタイルが「軽さと操作性」重視か、「耐久性と剛性」重視かによって、牛の年齢レベルから素材を選定しているのです。

トリビア 3-8:新品グローブを「お湯」で煮る型付け法

新品の革は非常に硬く、実戦で使えるようになるまで数ヶ月かかることもあります。これを短縮するために日本で編み出された荒技が**「湯もみ型付け」**です。

グローブを50〜60度のお湯にジャブジャブと浸け、水分を含ませて革を柔らかくした状態で揉みほぐし、一気に型を作って乾燥させる手法です。一見、革を痛めるタブー行為に見えますが、お湯の温度で繊維をほぐすことで、新品特有のコシを残したまま、即戦力の柔らかさを手に入れることができます。この技術は日本の職人芸として知られています。

トリビア 3-9:幻の「両投げ用」6本指グローブ

野球には極稀に「スイッチピッチャー(両投げ投手)」が存在します(パット・ベンディット選手など)。彼らのために作られたのが、**左右どちらの手でもはめられる「6本指のグローブ」**です。

親指を入れる穴が左右両端にあり、網(ウェブ)も特殊な形状をしています。投げる腕を変えるたびにグローブを付け替える時間はルール上与えられないため、マウンド上でグローブをはめたまま手を入れ替えることができるよう設計されています。この特殊グローブの登場に合わせて、「投手は打席ごとにどちらで投げるか明確にしなければならない」という専用ルール(ベンディット・ルール)も整備されました。

トリビア 3-10:100年前のミットは「座布団」だった?

現代のキャッチャーミットは、ボールが収まる「ポケット」が深く作られていますが、100年前のミットを見ると、まるで**「丸い枕」や「座布団」のようにパンパンに膨らんでおり、ポケットがほとんどありませんでした。**

当時は両手で捕球するのが基本であり、ミットはボールを掴む道具ではなく、**「投手の剛速球から手を守る緩衝材」**としての役割が強かったためです。現代のように片手で鮮やかに捕球するスタイルは、ミットの形状が「枕型」から「蝶番(ヒンジ)型」へと進化し、片手で開閉できるようになって初めて可能になった技術革新の賜物です。

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